研究概要 |
本年度は,超伝導マグネットの吸収放出電力による系統の応答から系統の運転状態を把握すること,及び超伝導限流装置の設計試作を行った。 1.現用の小型発電機と模擬送電線及び小型超伝導マグネットを用いて,超伝導マグネットから正弦波状の電力を吸収放出させ,電力系統の電力変動を最大エントロピー法で波形解析を行い,動揺周波数を測定した。これが,系統の安定度の指標である固有値の虚部,つまり,系統の同期化力に対応するも示すことができた。また,超伝導マグネットの吸収放出電力で系統の安定化を図りながら,その電力を系統の固有周波数と同じ周波数で変化させることにより,系統の固有値の実部,つまり,系統の制動力を測定する方法が示された。 この方法を複数個の発電機からなるネットワークへの適用可能性をアナログ型電力系統解析試験装置を用いて,実験的な検証を行った.これに用いる超伝導マグネット模擬装置も試作した。系統の主たる固有値が一つの場合は,測定の可能性が示された。しかし,複数個の固有値が存在したり,計測場所に制限を受ける場合などには,計測方法,データ処理法は開発する必要があり,次年度行う予定である。 2.超伝導の超伝導常電導相転移の解析を行い,現用の模擬電力系統に適したそれを利用した超伝導限流器の設計法を確立するとともに設計を行い,現在超伝導線を購入して,試作した。また,超伝導限流装置の故障電流抑制効果以外の系統安定度効果についても検証した。また,超伝導線の常電導超伝導相転移に関して,超伝導スイッチを例題にその特性解析を行った。
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