研究概要 |
本科学研究費で設計・製作した雲内放電路可視化のための干渉計は,5素子のモノポールからなるアンテナ系と干渉計受信機(1ビット相関器)からなっている。そして干渉計の受信周波数は327MHz,帯域は350kHzであり,アンテナ系へ入射する電磁パルス波の位相差の正弦成分及び余弦成分の合計8成分が測定できるよう設計されている。こん成分はアナログ出力となっており,1マイクロ秒でサンプリングされ,放電の開始時刻を含め1秒間記録されている。1秒という時間は,雷放電という観点からは,各事象を開始から終焉まで記録するのに,ほぼ十分な長さである。 同装置を改良した平成7年度の研究としては,当初の計画通りワークステーションを用いた数値処理により,電磁パルス列のそれぞれのパルスに対し,その到来方位及び仰角,即ち雲内における放電点の測位が、ほぼ実時間で可能となるようにした。また同システムの性能を検証する意味及び雷放電の雲内活動を理解する意味から,この装置を用いた冬季雷観測を福井県三方群でレーザ誘雷実験と共に実施し,加えて科学研究補助金・海外学術調査による海外観測をオーストラリア・ノーザンテリトリに属するメルビル島で,日米豪の共同研究として行った。その結果両観測ともほぼ期待する成果を得ていおり,詳しい解析は現在進行中でる。得られた結果の一部は既に学術誌に発表済みであるが,他の多くの成果については近日中に学術誌の公表予定となっている。
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