レーザーアブレーション法とパルス希ガス吹き付け法を併用して非平衡材料創製を試み、その動的機構を新しい時間分解測定法により調べることが、本研究の目的である。 本年度は (1)レーザープラズマ軟X線吸収分光(LAPXS)装置を製作し、測定システムを立ちあげること、 (2)IV族元素であるSiのレーザーアブレーションにより超微粒子を形成を試みること、 (3)アブレーション過程、およびSi超微粒子形成過程の動的機構を、ここで開発した時間分解レーザープラズマ軟X線分光法と新しい時間分解発光2次元分布測定によって、0nsから1msまでの広い時間範囲で調べること、を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 (1)各種金属ターゲットからのレーザープラズマ軟X線のスペクトルの単発測定を試み、検出に成功し、検出系のエネルギーキャリブレーションを行った。100eV付近のエネルギー分解能は0.5eVである。 (2)Siのレーザーアブレーションを行い、それと同時にパルスの希ガスをパルスバルブより吹き付けアブレーション粒子の超微粒子化を促進し、Si基板に堆積した。その超微粒子の大きさと数をAFM(原子間力顕微鏡)で観測し、約20nm以下の超微粒子が生成されていることが分かった。 (3)インテンシファイア-MCP(マイクロチャンネルプレート)を新たに付けたCCD検出器を用いて、時間分解二次元発光分布測定を試み、レーザーアブレーション粒子にパルスガスを吹き付けることによりショックフロントが形成されることを示した。 (4)LAPXS測定に関して、まず時間遅れ0nsでアブレーションSi粒子のX線吸収スペクトルを単発測定し、それに成功した。つぎに、アブレーションレーザーとレーザープラズマ軟X線との時間差を0nsから200nsまで調整し、アブレーション粒子の時間変化を追跡し、測定可能なことを確かめることが出来た。
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