研究概要 |
本年度はこれまでの研究結果を踏まえ,レーザーアブレーション法とパルス希ガス吹き付け法によりSiのクラスター形成を行い,そのクラスターと超微粒子(総称してナノクラスターと呼ぶ)形成の動的機構,及びSiO_2薄膜中のSiクラスターを時間分解レーザープラズマ軟X線吸収分光法により調べた.先ずSiとSiCのパルス希ガス中でのレーザーアブレーションによってクラスター化を促進させ,クラスター生成の動的機構を調べた.前年度もこの実験のためにアブレーション粒子を自由空間の微小領域に約1msの時間,保持できるような機構を試作してきた.しかし,最長2.55μsまでの測定にとどまり,クラスター化は見られなかった.そこで,更に遅い時間までアブレーション粒子が高密度に保持されるよう,保持機構の改良を行い,積算計測を実行した.これによって,クラスター形成過程の動的機構を0nsから15μsまでの広い時間範囲で調べることが可能になった。この改善によって得られた結果から,この時間領域においてもSiのレーザーアブレーションでは主にSi^+が,またSiCではSi原子が見られた.このように,0から15μsまでの時間領域においても顕著なクラスター化は起こっていないことを明らかにした.また,Siクラスターの軟X線吸収線については,SiO_X膜をポリカーボネイト薄膜上に堆積し,レーザープラズマ軟X線吸収分光でその場測定して調べ,約105eVのSiO_2L_<II>,_<III>吸収端よりエネルギーの低い領域で102.5eVから吸収が立ち上がり,103〜104eV付近にピークを持つ幅の広い吸収線を見い出した.これはSiO_x膜中の酸素欠損部分に存在するSiクラスターによるものと考えられる.
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