研究課題/領域番号 |
06452213
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
直江 正彦 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016465)
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研究分担者 |
松下 伸広 東京工業大学, 工学部, 助手 (90229469)
中川 茂樹 東京工業大学, 工学部, 助手 (60180246)
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キーワード | 巨大磁気抵抗効果 / スピンバルブ / イオン照射 / 界面制御 / デュアルイオンビームスパッタ法 |
研究概要 |
本研究で目指したスピンバルブ型メモリーの実現には、磁性層と非磁性層の界面が、磁気抵抗変化率や磁界感度に与える影響を調べることが重要である。デュアルイオンビーム装置を用いて、磁性層には10から35ÅのNi-Fe層を、非磁性中間層には10から35ÅのCu層を用いた多層膜をFeバッファー層上に作製し、その堆積中に界面の1ないし2原子層へ0から350Vのイオン照射することで磁気抵抗特性のイオン照射加速電圧依存性を調べた。イオン照射電圧が磁気抵抗変化率そのものに与える影響は僅かであるが、磁界感度はイオン照射電圧160Vにおいて最高値をとること、特にその効果は界面の原子層2層分に照射を行うと顕著であることが分かった。 次にスピンバルブ素子の試作であるが、スピンバルブを実現するためには優れた結晶配向性および磁気特性を有する反強磁性膜がバイアス層として必要であるが、本研究では(111)配向したFeMn層を用いることとした。FeMnは耐触性に乏しく、酸化されやすいという問題点がある。そこで、FeMn層が最上部に配列された一般のスピンバルブ構造とは異なり、FeMn層を最下部の基板側に配置したリバース型スピンバルブ構造を提案し、その作製を行った。FeMn単層では(111)配向を得ることは困難であるので、上記の多層膜の実験で得られたNi-Fe層の作製最適条件をもとに、良好に(111)配向した50Å極薄のNi-Fe層を作製し、その上にFeMn層を堆積することで、(111)配向FeMn層を得ることができた。そらに、この上にNi-Fe/Cu/Ni-Feサンドイッチ構造膜を堆積した素子を作製したところ、200e程度の交換バイアス磁界およびスピンバルブ動作が確認された上に、この素子の磁気抵抗変化率がかなり高いことも分かった。また、実際の工学的応用で重要となる低磁界付近においても急峻な磁化反転が確認されており、磁界感度が高いことが分かった。 以上のように、メモリーデバイスの作製までは実現できなかったものの、本研究では高い磁気抵抗変化率、磁界感度、および耐食性のスピンバルブ素子の作製に成功しており、リソグラフィ技術を用いたデバイス加工を行うことで、メモリーデバイスとしての応用も十分可能であることを示した。
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