研究概要 |
我々は、これまで電子ビーム照射を単結晶A1203表面上(サファイア、及びエピタキシャルA1203(100)on Si(100))に行うことにより、基板表面上の酸素原子の脱離が生じ、表面の組成、結晶性が変化すること、その基板上にSi2H6ガスを用いてSiの選択成長が出来ることを見いだし、研究してきた。これまでの研究結果より電子ビーム照射条件(照射しきい値量、加速電圧)と基板面上で生じている選択成長メカニズムはかなり明かにしてきた。この現象を将来の新しいデバイスに応用して行くためにナノスケールの極微細領域での選択エピタキシャル成長の可能性とその特徴を明確にすることは重要である。また結晶学的見地から、この極微小領域に限定された成長はヘテロ構造に伴う格子不整、歪みによる欠陥導入メカニズムを変え、無欠陥結晶成長の期待がある。 本年度は半導体ナノ構造を形成しその三次元的な直接制御を行うために、我々の研究質で見出した電子ビーム照射を用いた選択成長法による、サファイア上へのSiナノ構造の形成技術を確立させることを目的として研究を行った。AFM、SEMによる観察結果から、幅250nm、高さ30nmの一様な細線が、また直径250nm、高さ30nmのドット構造が得られたことがわかった。また、本方法により形成される微細構造の形状は電子ビーム照射量に大きな影響を受けるが、適当な照射量においては微細構造の形状や位置を非常に制御性良く形成できることがわかった。 また、将来の量子構造デバイスを研究していく上で重要となるSiGeあるいはSi/A1203/Siヘテロ構造形成についても研究を行い、薄膜で高品質なA1203薄膜が得られることを明らかにでき、その上のSiGe,Siの成長形態を明らかにし、極微細領域での選択成長に結びつけれるように基礎的なデータを得た。さらに、A1203単結晶を選択的にエッチングする方法を始めて見いだすことができた。これは、将来的に有用な結果となるであろう。
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