研究課題/領域番号 |
06452224
|
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
岩井 荘八 理化学研究所, レーザー科学研究グループ, 先任研究員 (40087474)
|
研究分担者 |
目黒 多加志 理化学研究所, レーザー科学研究グループ, 先任研究員 (20182149)
一色 秀夫 理化学研究所, フロンティア研究システム, フロンティア研究員 (60260212)
青柳 克信 理化学研究所, 半導体工学研究室, 主任研究員 (70087469)
|
キーワード | 原子層成長 / 有機金属気相成長法 / 量子ナノ構造 / GaAs / 選択成長 / フォトルミネッセンス / 量子閉じ込め効果 / 自己停止機構 |
研究概要 |
本年度は原子層成長(ALE)による選択成長及び成長モード切替技術を用いた低次元量子構造作製プロセス開発を目的として、その組成、構造及び不純物ド-ピングの原子層制御技術の確立を目指した。更にALE成長により作製した原子層制御量子構造の基礎的な光物性評価を行いった。本年度の成果は以下のとおりである。 (1)ALE成長による組成及び構造の原子層制御技術の確立 ALEの特徴である自己停止機構により極微小選択領域(〜nm)においても異常成長のない均一な局在ALE成長を実現した。この技術を用いて横方向に量子閉じ込め構造を有する(CaAs)m(CaP)n擬一次元系超格子(QID-SL)の作製に成功した。ALE成長した(GaAs)_5(GaP)_5QID-SLの透過電子顕微鏡(TEM)による断面原子像観察から、原子オーダーの極微小選択領域において原子層オーダーでの膜厚制御性、均一性を有しかつ成長モードの切り替えが実現されていることを確認した。この結果は単原子層超格子を用いることにより組成(バンドギャップ)制御も可能にすることを示している。 (2)ALE成長モード切替技術を用いた低次元量子構造の不純物ド-ピング制御 ALE成長モード制御を用いてpタイプ変調ドープ矩形量子細線構造の作製に成功した。さらにPL測定よりpタイプ変調ド-ピング効果を確認した。 (3)低次元量子構造における量子サイズ効果の観測、解析 pタイプ変調ド-ピング構造を用いることにより価電子帯が縮退正孔で充満され、高エネルギー側の電子状態まで観測する事が可能となり、偏光PL測定よりバンド混合効果による量子細線固有の価電子帯の電子状態を初めてPL発光で観測した。さらに量子細線構造からのPL発光の磁気光学特性を観測し、予測とは異なりバルク結晶より大きな反磁性シフトを示した。この結果は量子細線中のキャリアと近接不純物との相互作用による電子の波動関数の広がりによる効果と考えられ、これをモデルとした解析結果と良い一致を示した。
|