半導体ホール素子およびコイルを用いた多次元磁気センサとニューラルネットワークによって、2次元および3次元の位置、ならびに動きを検出するシステムを構築した。 まず、2次元平面内を平行移動、さらに屈曲移動する物体の位置、動き検出を行なった。磁界の発生源は、静磁場としては永久磁石を、変動磁界としてはコイルを採用し、それぞれの磁界検出デバイスとして前者には2次元ホール素子、後者には2次元コイルを用いた。平行移動、屈曲の演算部として2入力のアナログネットワークを用いて、それぞれの場合について50〜100mmの移動範囲において数%以下の誤差でリアルタイムに計測できることを確認した。また、このような処理におけるニューラルネットワークの構造最適化を行なった。 つぎに、以上の結果を受け、システムを3次元化した。ニューラルネットワークの構造は3次元のアナログ入力を直接扱えるよう、最適化し、3次元コイルから得た交流磁場測定結果より、その三次元座標値を数%以下の誤差で、リアルタイムで検出可能であることを示すことができた。 本研究をつうじ、従来不明であったアナログニューラルネットワークの限界と可能性、特に3次元化に簡単に対応できること、およびネットワークの構造を最適化することによって数%以下の誤差までネットワークの学習が可能であることを明らかにしたことは有意義である。また、磁界発生源の形状および磁界検出素子の形状・分解能に関わらず本手法が有為であることが示されたため、今後ますます発展が期待されるマイクロマシンの運動制御や臨床応用に対して、光明を与えることができたと考える。
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