(1)液晶を用いた偏波コントローラの実証 i)回転波長板の設計と作製技術の確立 偏波コントローラの構成素子である液晶回転波長板の試作と改良を行なった。その結果、回転の応答時間が4ミリ秒以下で、かつ損失が0.1dB以下と極めて小さい回転波長板を再現性よく作製する技術を確立した。現実の光伝送系において発生する光の偏波面の変動の周期は速くても数秒から数分であるため、これを補償するのには十分な速度を持つ素子ができたといえる。 またその過程で、液晶材料、電極形状等の最適な設計指針を確立した。 ii)周辺技術の確立 上記液晶回転波長板は8対の電極を持ち、それぞれに異なる波形の電圧を印加して駆動する。この駆動に必要な各種電子制御系の試作/改良を行ない、その結果波長板のすべての動作をコンピュータ制御で簡便に行なうことを可能とした。またフィードバック制御に必要な、信号光の偏波状態を検知する光学回路についても、基本的な作製技術を確立した。 ii)基本原理の実証 上記の素子と制御系を組み合わせて実際に偏波制御の実験を行ない、初期的な段階ながらシステム全体として設計どおりの偏波制御動作を確認した。具体的には、任意の偏波状態を持つ入射光を直線度13dB以上の直線偏波に変換し得ることを確認した。 (2)チューナブル光フィルタの動作解析 液晶を用いた波長選択光フィルタの共振モード次数について、これまで明らかになっていなかったその特異な振る舞いを理論的に解析し、その起源と性質とを明らかにした。
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