研究概要 |
1.トラヒックシミュレーションでは,本来ベクトル計算がほとんどないので,ス-パコンピュータを有効に利用するには,いかにベクトル化を多く行うかが鍵となる.本年度は,ATM(非同期転送モード)を対象として,ベクトル化シミュレーションを行う手法について検討した.ATMの場合は,VP(バーチャルパス)の中にVC(バーチャルチャネル)があるという二重構造であり,また,バースト的なトラヒックが多いため,処理が複雑になる.従って,単純にシミュレーション計算のベクトル化を行うと,ベクトル化率を大きくすることができない. ATMのセルレベルのシミュレーションをベクトル化して行うのは極めて難しいので,今回は,バーストレベルのシミュレーションを行うことにした.通常は,バーストをトランザクション,VPやバッファなどをリソースと考えるが,この考え方を逆転し,バーストをリソース,VPやバッファをトランザクションとして取り扱うことにより,シミュレーション時間を大幅に短縮することができた.今回は,バースト廃棄率を求めたが,実際にはセル廃棄が起こるのであり,バースト廃棄が起こるのではない.そこで,バースト廃棄率をセル廃棄率に換算する方法などについて今後検討する予定である. 2.本研究では,最終的には,シミュレーションの計算にはス-パコンピュータを用い,入出力部分すなわちマンマシンインタフェースにはワークステーションを用いる予定である.ス-パコンピュータとワークステーションとの間の情報のやり取りの方法については,いろいろ試みた結果,UNIXのソケットを用いることにした.ス-パコンピュータ側のソフトウェア,ワークステーション側のソフトウェアとも間もなく完成する予定である.
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