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1994 年度 実績報告書

大規模分散システムのための実時間オブジェクトアーキテクチャ

研究課題

研究課題/領域番号 06452244
研究種目

一般研究(B)

研究機関慶応義塾大学

研究代表者

所 真理雄  慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10051898)

キーワード分散実時間オブジェクト / 動的スケジューリング / 実時間ネットワーク・プロトコル / 並行計算モデル / DROL / MART / RtP / DtCCS
研究概要

平成6年度における研究成果を,交付申請書研究実施計画に記載した個別の研究テーマごとにまとめる.
1.記述言語:分散実時間記述言語DROLの有効性評価・・・分散実時間システム記述言語DROLの特徴は,最小被害戦略を導入したオブジェクト間交信にある.アプリケーション・プログラムを記述,その動作例を検証することにより,交信相手が過負荷状態にある状況,あるいは,通信経路上で予期せぬ遅延が発生した状況で,なお安定した動作が求められる問題領域において,最小被害戦略に基づく交信セマンティックスが有効であることが示された.
2.実行環境:実時間ネットワーク・プロトコルの提案・・・FDDIネットワーク上で稼働する実時間プロトコルRtPを設計・実装した.RtPは,VSLモデルの枠組に基づき,2つの仮想チャネルを導入,実時間OS RT-Machと統合することにより,実時間通信を実現する.画像情報の転送等,実時間性を要する幅広い分野での応用が期待できる.
3.実行環境:動的な実時間スケジューリング・アルゴリズムの提案・・・TV会議システム等,周期タスクの動的な生成・消滅およびタスクの時間特性の動的変更を必要とするシステムが存在する.DROL実行環境における支援を目的として,動的な時間特性を持つタスク・セットに適用可能な,時間特性調整アルゴリズムMARTを提案した.このアルゴリズムにより,常に変化し続ける環境上での動的かつ柔軟な実時間システム構築が可能となった.
4.理論背景:局所時間性に基づく分散実時間計算のための形式系の確立・・・分散実時間システムにおける各計算機の局所的時間の相違に着目し,分散実時間システムの動作内容と局所的時間性を記述・解析するための形式系をプロセス計算体系であるCCSに基づいて定式化した.本形式系により,局所的時計の相違と誤差による分散プロセスの動作内容と時間的特性への影響を明示的に解析できるようになった.
5.実験環境:高速ネットワーク実験環境の構築・・・FDDIを基幹とする高速ネットワーク実験環境を構築し,次年度以降に予定される各種実験に関する基礎データを収集した.本テーマにあわせて,本年度設備備品費によりFDDI/CDDIワークグループハブ1台を購入した(平成7年2月納入).また次年度以降の実験環境の整備を目的として,本年度設備備品費により購入したIBM互換機3台を購入した(平成6年11月納入).
テーマ1.2.および4.の研究成果は,個別に論文としてまとめられ,日本ソフトウェア科学会コンピュータソフトウェアに投稿,採録されている.また,テーマ3.の研究成果をまとめた論文は,IEEE主催の国際ワークショップWorkshop on Parallel and Distributed Real-Time Systems,WPDRTS'94に投稿,受理された.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 高汐 一紀: "分散実時間システム記述言語DROLにおける最小被害戦略の実現." コンピュータソフトウェア,日本ソフトウェア科学会.

  • [文献書誌] 塩野崎 敦: "リアルタイム通信プロトコルRtPの設計." コンピュータソフトウェア,日本ソフトウェア科学会.11-2. 20-31 (1994)

  • [文献書誌] 佐藤 一郎: "分散計算のための局所時間性に基づく形式系." コンピュータソフトウェア,日本ソフトウェア科学会.11-2. 32-44 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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