光交換システム・デバイスに関する電子情報通信学会第2種研究会を通じての研究交流の結果、ATM光交換システムの本命と目される波長ル-タを用いる超高速システムの構想に到達した。しかし直面するシステム課題としてセルバッファの構成法と最適化で達成される極限性能の算定がある。 平成6年度にはATM光交換最大性能の推定に関しては、入力側でも波長多重して大容量化をはかる新方式を評価したが、多重度の増大とともに出力バッファの負担が急増し、複雑さの増大に比してthroughputは漸増するにすぎないことが判明した。(OEC'94にて発表) 出力バッファの構成法では従来の光ファイバセルバッファ方式での課題である光ファイバ増幅器の広波長帯域化について光回路合成論的アプローチを実行した。 光ファイバ増幅器の利得等化に関し波長幅40nmで等化誤差0.7dBを達成し、更に光回路診断方法として、光回路パラメータ決定の一意性を発見した。(前者はOEC'94にて発表)また、偏波依存利得偏差に関して、利得飽和のミクロな線形性に着目して直交する2方位イオン群間の結合レート方程式で十分実験値を説明できることを見つけた。(OFC'95にて発表) 更に出力セルバッファ方式の検討を行い、従来は高速波長選択性スイッチの実現困難から否定されていた単一ループ波長多重セルバッファ方式を改良し、光周波数変換器をループの内部に置く新方式を考案した。Cell Loss Rateの光キャリア数依存性を見積り、光IC化を考慮しても有力な方式であることを確認した。
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