研究概要 |
動画像を3次元一様確率場とみなその確率モデルの推定方法を開発した.特に本年度に得られた成果を以下に列挙する. 1.ドリフト動画像モデルへの応用 2.準逐次直交法の提案 3.実画像のスペクトル推定 項目1については,非因果性モデルと時系列ARモデルを組み合わせることにより,定常動画像に対するモデル推定が可能であるが,この方法をドリフト動画像へ応用することが可能になった. 項目2については,実際の動画像では,単に非因果性モデルと時系列ARモデルを併用するだけでは十分な白色化が得られないことがある.これを改善する方法として,時系列解析における逐次直交法を動画像モデル推定に応用しほぼ完全な白色化フィルタを推定する方法を提案した.あらかじめ空間白色化フィルタを適用した後本法を適用するが,このとき白色化が不十分であれば繰り返し準逐次直交法を適用でき,より精度の良い白色化フィルタを得ることができる. 項目3については,以上の方法を実画像のスペクトル推定に応用したものである.スペクトル推定の結果のみならず,ドリフト動画像モデル推定の中間過程では,空間相関関数を利用したドリフト速度推定も行なえることを示した. 実際的な画像計測への応用までは至らなかったが,画像のスペクトル推定に関して新たに双峰スペクトル型の不規則画像に対するモデル推定を行なった.従来定常動画像などの画像モデルでは,スペクトルピーク位置が低周波のみにあるモデルを仮定することが多い.しかし一般的にはこの仮定は成立しないものと考えられるため,この制約を取り払ったモデル推定に取り組んだ.その結果二つのスペクトルピークを持つような波状不規則画像にたいするモデル推定が新たに可能となった.これらの結果はさらに波状動画像への応用が考えられる.
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