研究課題/領域番号 |
06452257
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
大即 信明 東京工業大学, 工学部・土木工学科, 教授 (40211106)
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研究分担者 |
久田 真 東京工業大学, 工学部・土木工学科, 助手 (80238295)
鎌田 敏郎 東京工業大学, 工学部・土木工学科, 助手 (10224651)
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キーワード | マクロセル / 打継ぎ / 塩化物イオン / 酸素透過量 / 表面塗装 |
研究概要 |
本研究題目に関する本年度の研究実績を以下にまとめる。 (1)マクロセル発生機構に関する実験的検討 ・塩化物イオン含有量が打継目を境として大きく異なる場合、塩化物イオン含有量の多い既設コンクリート内部の打継目近傍で、マクロセル腐食の発生が確認された。なお、本研究の範囲では、既設コンクリート側の塩化物イオン含有量が2.0kg/m^3以下であれば、腐食の進行は見られなかった。 ・打継目では、外部環境中に含まれる塩化物イオン、酸素および水分の浸透が起こりやすい。従って、打継目に位置する鉄筋は、コンクリート内部に存在する鉄筋とは異なる環境に接することとなり、マクロセルを形成する要因となりえる。 (2)マクロセル腐食速度に関する実験的・解析的検討 ・打継目を境とする塩化物イオン含有量の相違により形成するマクロセルの腐食速度は、打継部に存在するコンクリート部材の品質の影響を受ける。特に、補修材側の品質の影響が大きい。これは、カソード反応に必要な酸素供給量が律速条件となるためと考えられる。 ・打継目の付着性は、マクロセル腐食速度に影響を及ぼす。外部環境が相対湿度80%の湿潤空気中では、付着性が良いと、打継目からの酸素透過量が減少するため、腐食速度は抑制される。一方、付着性が悪いと、既設コンクリートと補修材間の電気抵抗が増加し、マクロセルの形成が電気的に困難となるため、腐食速度は抑制される。また、外部環境中に塩化物イオンも存在する場合には、付着性が良いと、打継目における塩化物イオン含有量が減少するため、腐食速度は抑制される。 ・打継部コンクリートの材質、打継目の付着性および外部環境をパラメータとするモデルにより、打継目近傍のマクロセル腐食速度の分布形状を定性的に解析することができた。 (3)塗装によるマクロセル腐食の防止効果に関する実験的・解析的検討 ・既設コンクリート中に多量の塩化物イオンが残存し、マクロセル腐食が進行している場合、表面塗装だけでは安定的に腐食を抑制することはできない。一方、既設コンクリート中に残存する塩化物イオン量が少ない場合は、表面塗装により外部からの塩化物イオンの浸透を防止すれば、マクロセル腐食の進行は抑制される。
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