研究概要 |
平成6年度においては、コンクリートに添加するアルカリに、NaOH,NaClの2種類を用い、さらにコンクリートに流す電流密度を0,25,50,100,200mA/m^2の5水準にとって、コンクリートのアルカリ骨材反応に及ぼす通電の影響について検討を行った。また、アルカリ骨材反応を抑制できることが知られている高炉スラグ微粉末を混入したコンクリートについても、高炉スラグ微粉末無混入のコンクリートと比較して検討を行った。その結果、以下に示すように結果が得られた。 (1)骨材がアルカリ骨材反応性を示すものを使用したコンクリートに鉄筋を介して通電を行うと、陰極である鉄筋周辺にアルカリ金属イオンが集中して、アルカリ骨材反応が促進される。しかし、単純に電流密度が大きくなればそれに比例してアルカリ骨材反応による膨張が大きくなるのではなく、ある値の電流密度で膨張は最大となり、それ以上電流密度が大きくなると膨張は緩和される傾向にある。つまり、電流密度に関してもペシマム値が存在することが確認された。 (2)添加するアルカリとしてNaOHを用いたコンクリートに比べて、Naclを添加したコンクリートのほうが、通電を行うことによって顕著にアルカリ骨材反応による膨張が助長される。つまり、Naclを添加したコンクリートの方が、NaOHを添加したコンクリートに比べて、通電による影響を多大に受けることが確認された。 (3)通電を行った場合においても、高炉スラグ微粉末を混入することによってアルカリ骨材反応が抑制されることが確認された。また、高炉スラグ微粉末を混入したコンクリートに関しては、通電によってアルカリ骨材反応が極端に助長されることはなく、むしろアルカリ量が多いものは、通電を行うことによって、アルカリ骨材反応による膨張が小さくなる傾向にある。つまり、高炉スラグ微粉末を混入したコンクリートに通電を行うことによって、アルカリ骨材反応による膨張がさらに抑制されることが確認された。
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