研究概要 |
平成7年度においては、コンクリートに添加するアルカリとしてNaOH,NaClの2種類を選び、アルカリ量をNa_2O当量で0.5,1.0,1.5,2.0,2.5%の5水準、 コンクリートに流す電流密度を0、25、50、100、200mA/m^2の5水準にとって、コンクリートのアルカリ骨材反応に及ぼす通電の影響について検討を行った。また、アルカリ骨材反応の抑制に効果的な材料として知られている混和材料を混和したコンクリートについても通電の影響を実験的に検討している。得られた結果を以下に要約して示す。 (1)アルカリ骨材反応性を示す骨材を使用したコンクリートに鉄筋を介して通電を行うと、陰極である鉄筋周辺にアルカリ金属イオンが集中して、それが蓄積されるため、アルカリ骨材反応が促進され、かつ反応による膨張が大きくなる。しかし、単純に電流密度が大きくなればそれに比例してアルカリ骨材反応による膨張が増大するのではなく、ある値の電流密度において膨張は最大となり、それ以上に電流密度が大きくなると膨張はかえって緩和される傾向にある。つまり、電流密度に関してペシマム値が存在することが確認された。 (2)カソード電気防食を目的に通電を行った場合においても、高炉スラグやフライアッシュなどの混和材料をコンクリートに混和することによって、アルカリ骨材反応が抑制されることが確認された。また、その抑制効果は、フライアッシュよりも高炉スラグの方が、混和材料の種類が同じ場合は混和材の添加量が多いほど、それが顕著であることも認められた。
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