研究概要 |
本年度は,内径30cm,高さ30cmの鋼製のセル内で薬液注入実験を行うための試験装置を購入し,ケイ砂6号を用いて瞬結性薬液による地盤改良効果の検討を行った。供試体上部にはゴムメンブレンを介して空気圧により様々な圧力を加えることが可能であり,地盤の様々な深さでの注入実験に相当する室内試験を,注入量・注入速度を変化させて行った。この結果,緩結性薬液においては,すべての条件で浸透注入が行なわれて固結体形状がほゞ球状になるのに対し,瞬結性薬液では,拘束圧が小さい場合には割裂注入状態となり,固結体の形状が著しく不規則となることが知られた。しかし,5kgf/cm^2以上の高拘束圧においては,瞬結性薬液でも固結体の形状が球形に近くなり,浸透注入に近い状態の注入効果が得られるが,固結体の体積は低拘束圧の浸透注入状態における固結体の体積の1割以上小さくなり,改良範囲が予想よりかなり小さいことが知られた。これは,実際の地盤深部での注入施工において改良効果の範囲を推定する場合に考慮すべき重要な問題を提起している。 一方,注入時における注入圧の変動を記録したP-tチャートを薬液注入の施工管理に用いることの意味について検討を行うために固結砂の強度試験を行い,水圧破砕が発生する限界注入圧について検討を行った。この結果については,まだ明確な結論は得られていないが注入圧Pの変化は施工管理の指標として有用であることは実証された。 次年度には,浸透解析を行いつつ,水圧破砕圧と割裂注入との関係を明らかにして行く予定である。
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