研究概要 |
本研究では,まず斜面でみられる進行性破壊現象を遠心力模型実験等により物理的に解明し,ついで境界値問題としてとらえた解析モデルを構築する。この際,提案したひずみ硬化-軟化型構成式を力学的時間依存性挙動ならびに材料の物理化学的劣化挙動を説明できるよう拡張して解析に用い,進行性破壊現象の解析法の確立を目的とする。本年度は以下に示す研究を実施した。 1.軟岩および過圧密粘土の力学的時間依存性ならびに物理化学的劣化挙動に関する資料収集を行った。 2.理想的軟岩として,第三紀体積の凝灰岩である大谷石を試料に用いた,排水ならびに非排水三軸定ひずみ速さ三軸試験,定応力下のクリープならびに定ひずみ下の応力緩和試験を実施し,軟岩のひずみ硬化・軟化ならびに時間依存性挙動を統一的に把握・解明した。 3.既に提案済みのひずみ硬化・軟化挙動を記述できる弾塑性構成式を拡張することにより,ひずみ硬化・軟化挙動のみならず,ひずみ速さ効果,クリープならびに応力緩和挙動などの時間依存性挙動を統一的に記述できる弾粘塑性構成式を誘導した。 4.軟岩等の物理化学的劣化を含む広義の時間依存特性ならびに進行性破壊現象に関する試料収集を実行した。 5.遠心力模型実験を中心にした進行性破壊のモデル実験を実施するために,斜面実験用土槽,載荷装置,制御装置を設計した。さらに,モデル斜面による予備実験によって,斜面高さ・斜面角度,モデル地盤等に関し検討を加え,各種計測装置のキャリブレーションをも行った。
|