研究概要 |
特に水とエネルギーの循環を理解し、かつ大気大循環モデルに組み込んでいかなければならない分野として、大気と地表面における水とエネルギーのやりとりの理解とそのモデル化がある。これまで、地上の非常に狭い範囲内においては、集中的な観測およびモデル化によって、水・熱のやりとりが理解されつつあるが、これが地域スケール・大陸スケールひいては地球全体となると、仮りモデル化はできたとしても、それをパラメータライズし、検証し得るデータを大陸規模で地上観測によって取得することは困難であるため、そのモデル化は疑わしいものになってしまう。唯一、残された観測手法は、宇宙からの衛星リモートセンシングである。そこで、本研究では、水・熱循環の理解およびモデル化のために、衛星リモートセンシングデータから、これらに必要な物理量を取得するための方法を獲得することを目的としている。 今年度は,計画の最終年度として平成7年度に行なったデータ収集を継続するとともに,特に,衛星搭載合成開口レーダデータを用いた地表面粗度パラメータの抽出方法を開発した.まず,データ収集については、琵琶湖北東域を対象として,衛星リモートセンシングデータ・航空機リモートセンシングデータを取得し、衛星データ取得時と同期して地上でグランドトルウ-スデータの収集を行なった。さらに,リモートセンシングデータから広域の空気力学的粗度マップを得る方法について考察し,地表の体積含水比を計測した上で複数のマイクロ波散乱の理論モデルを連立させて解くことにより,地表面高さの標準偏差および相関長さといった粗度パラメータを得るアルゴリズムを構築した.加えて,全球規模の空気力学的粗度マップを作成するため,衛星データのCCT値から直接地表面粗度を得るための回帰式を作成した.
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