研究概要 |
昨年に引き続きダム放流管での高速気液混相流での空気の輸送の実験を行った。その結果空気輸送を生じさせる形態が、跳水現象によるものと水と空気の界面で生ずる摩擦力によるものである事が確認できた。今年度は大きさの異なる模型を3種類作成し、長さも相似性を考慮して決めて実験を行った。その結果は昨年に確認した結果「一つの管路中に幾つかの流れの形態が生じ、水の流速が速い場合に生ずる層状流、波状流、断面全体に気泡が流れる気泡流、流速が遅くなったときに生ずるプラグ流、スラグ流へと下流に行くに従って変わってくる。また空気の混入量はゲート開度の大きさによって(管径とゲートの開きの比)ピーク値を取る状態が変化し、その比が0.25,0.6,0.8の付近にあり、これが管路の下流の流れの状態によって変化してくる事。および0.25,0.8は跳水により、0.6は層状流によるものである。」を確認した。また小さい管径のケース(d=6cm)では摩擦力の影響が強く出て他の管径の場合との相似性が無くなる傾向が判った。このような事から通常考えられているFroudeの相似のみでなく、Reynoldsの相似も考えなければならない事が判った。したがって小さい模型での結果から現地の値を推定するには現象を根本的に解明して相似性について考慮する必要があることが判った。またダム越流部の堤踵導流水路内での気液混相流では、新しく作成した赤外線センサーを使用した空気濃度の測定を、所定の3断面について1cmの格子点全部について行った。この結果から水路内での流れの状況を把握することができた。昨年までの一測定線での結果から判断していた状況と異なる視点を持つことができ、流れの相似性ついても検討しやすくなった。しかし今回までの測定での流速は2m/s以下であり、現地で生じている10m/s以上の状態での状況は今後に残された問題である。下水管縦シャフトの流れでは管の長さが長くなると空気の量が増加してくる傾向は今年の9m長までの実験で確認できた。理論的な展開もまとめることが出来たが、圧力測定との関連を付けることが今後に残された問題である。この3年間での成果をまとめて報告書を作成した。
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