研究概要 |
ダム放流管での高速気液混相流での空気の輸送を生じさせる形態が、主として2つの形態に分類できる事が判って来た。一つは跳水現象によるものであり、もう一つは水と空気の界面で生ずる摩擦力によるものである。土木構造物での長い管路での流れでは、一つの管路中に幾つかの流れの形態が生じてきている。すなわち水の流速が速い場合に生ずる層状流、波状流、断面全体に気泡が流れる気泡流、流速が遅くなったときに生ずるプラグ流、スラグ流へと下流に行くに従って変わってくる。また空気の混入量はゲート開度の大きさによって(管路と水の流れる部分の比)ピーク値を取る状態が変化し、その比が0.25,0.6,0.8の付近にあり、これが管路の下流の流れの状態によって変化してくる事が判った。0.25,0.8は跳水によるものであり、0.6は層状流によるものである。また管の径が比較的小さく(d=6cm)管の長さが長い場合には層状の流れにはならなくなり跳水による混入のみが生じている。このような事を考えると通常考えられているFroudeの相似のみでなく、Reynoldsの相似も考えなければならない事が判り、この相矛盾する相似則では現象を説明できない事となる。従って現象を根本的に解明して相似性について考慮する必要があることが判った。次年度の研究課題である。 またダム越流部の堤踵導流水路内での気液混相流では、新しい赤外線センサーを使用した空気濃度の測定を行った。この結果水の流速がある程度大きくなると水深方向の空気の濃度分布が似てきており、水深の60%付近で濃度が最大となる傾向を示してくる事が判明した。今後はより高速状態での混入状況の測定が必要である。 下水管縦シャフトの流れでは管の長さが長くなると空気の量が増加してくる。しかし管の直径が大きくなってもその割に増加しないことが判明した。しかし充分なデーターを取得していないので今後測定ケースを増やして現象解明を目指す。理論解析モデルを作成したので現象との相関性を明らかにする。
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