世界の主要空港の旅客航空便の時刻分布や目的地分布を調べるために、33の空港を抽出して、ABC時刻表とOAG時刻表の記載事項をデータベース化する作業を行なった。時刻表は1994年春のものを用いたが、入力データ量が膨大なため、本年は23空港分しか入力することができなかった。しかし、この23空港分のデータからでも、離着陸便の時刻分布など多くの空港特性に関する知見を得ることができている。時刻分布の類型は5つのパターンが見えてきたし、ピーク率に関しては、その大小がそれぞれの空港の混雑率や年間旅客数およびウィークリーデータ倍率(便数の週日による偏りを示す指標)によって説明できることが判った。今後は、このような離着陸便の時刻分布が空港のどのような特性によって決定されるかを、さらに深く分析していく必要がある。 一方、滑走路運用シュミレーションモデルを簡単な仮想タイムスケジュールを用いて、単一滑走路の場合とクローズドパラレルの場合について開発した。プログラムのテストランの結果は良好であり、1時間あたりの処理便数の増加とともに待ち時間が上昇する様子がよく読み取れる。また、一般に物理的限界といわれる便数で待ち時間が急激に増加することが判った。単一滑走路の場合、1機当り120秒の許容待ち時間を設定すると、それに対応する処理可能便数は物理的容量のおおむね60%程度である。 なお、本研究の基礎概念である「ゆとりと容量」について、雑誌「運輸と経済」の誌上で論じた。
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