開発途上国における、し尿・雑排水の衛生処理が飲料水の整備に比して大幅に遅れているのが現状であり、水の10年での指摘の通り、し尿・雑排水の衛生処理は飲料水の供給と相互補完的に改善し整備する必要がある。この認識に基づいて、解決しうる代替案を把握、整理するため、事例国として選んだインドネシアの特殊性と普遍性、衛生施設整備状況、保健衛生指標、水質汚濁の現状、水質環境基準、国家開発などを現地で調査し、分析を行なった。この結果に基づき、個別処理システム、集合処理システム、コミュニティ施設の3施設を同国の主要代替案として整理した。次に、これら代替案を整備するには段階的なアプローチが最も現実的で、また、どのように段階的整備を進めるのかが効率的かつ公正であるかは、その整備シナリオを幾つかつくり比較検討することで明らかとなる。本研究で検討した段階的改善計画では、環境面にはBOD、健康面では糞便性大腸菌を検討の指標とし、制約の多い資金面について考慮した。また、この効果を表現するため達成目標を最小コスト、予算対効果を最大にする整備計画を策定するためのコンピューター・シミュレーションを開発し、インドネシアの中規模都市をケーススタディの対象としてシミュレーションを行ない、10通りの整備計画を計算し、BOD負荷削減効果の違い等が比較できるグラフの作成を行なった。
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