平成6年度の成果をもとに、両建物の種類・形式、規模、様式、立地条件を整理した。特に壁の存在(構法と量)、および壁の構成(材料・厚さなど)の関係をまとめた。また、構造解析上必要な諸元を得るために、柱-貫接合部の部分実験を継続して実施した。特に今年度は、既往の研究・実験では取り上げられていなかった、接合部内の貫の継手の形状に着目して実験を実施した。次にその結果から、それらの影響を考慮した柱-貫接合部の強度・剛性の推定式を構築した。 次に、建物をモデル化して、仏殿と法堂の耐震性を評価した。建物の荷重の積算など行った上で、各柱-貫接合部・剛性を足し合わせることで、両建物の水平耐力・剛性を求めた。その結果、解析においては、仏殿の方が保有する水平耐力が大きいという結果が得られた。これは、関東地震の際の実際の被害とはむしろ逆の結果である。その原因としては次の3つが考えられる。第1は、解析では仏殿がやや大きな保有耐力を示したが、いずれの建物も保有耐力の絶対値は小さいこと。第2は、この解析は弾性範囲のみを対象としているおり、破壊が生じる塑性範囲については、追跡できていないこと。第3は、破壊は接合部が外れることにより進行すると考えられるが、柱内部の貫の継手は確認できないため、外れ易さといった性状は把握が不可能であったこと。 以上の解析を例に、伝統的な木造建物、特に柱-貫接合部を中心とする建物の耐震性の評価方法を提案した。
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