研究概要 |
鉛直荷重を受ける杭基礎の周面摩擦挙動を詳しく解明するためには、杭の各深さ位置における地盤内の側方土圧、間隙水圧等を把握できれば格段の情報になりうるが、実際の杭ではそれらを直接測定することが困難である。そこで、側方土圧、間隙水圧、周面摩擦、先端軸力が測定でき、杭先端からのセンサー位置を変えることができる模型杭(四成分センサー)を新たに考案・作成し、実際の地盤において鉛直載荷試験を行った。新たに考案・製作した模型杭は、直径3.57cm(断面積10cm^2)、長さ51cmのステンレス製であり、この中に間隙水圧計(容量5kgf/cm^2)、側方土圧センサー(容量5kgf/cm^2)、軸力センサー(容量2,000kgf)、周面摩擦センサー(容量5kgf/cm^2)を設置した。今回は、載荷速度をパラメーターとし、杭先端付近地盤に着目して試験を行った。載荷試験を行った地盤は、埼玉県宮代町(日本工業大学構内)で、センサー位置の土質はローム(層の上端GL-約2m、下端GL-5m、層圧約3m、地下水位GL-1.9m)である。載荷速度は0.01,0.1,0.5,1mm/sの4種類で、それぞれ2cm貫入した。貫入には、最大荷重2t用のダッチコーン用貫入装置を使用した。試験を行った結果、1)杭径の10%の貫入量までは、貫入が進むにつれて有効側方土圧は低下し、載荷速度が速いほど有効側方土圧の低下量が大きい。2)載荷速度が速いほど周面摩擦力のピーク後の低下量が大きい。ことがわかった。
|