地下構造物の快適性、安全性の解析・計画に関する基本的研究-熱性状および煙流動解析からのアプローチ-

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06452292
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 松本 衛 神戸大学, 工学部, 教授 (10031064)
• 研究分担者: 松下 敬幸 神戸大学, 工学部, 助手 (80144335)
• キーワード: 熱水分同時移動方程式 / 水分伝導率 / 地表面の熱収支 / 地盤内の水分分布 / 二層流モデル / 煙先端部の伝播

研究概要

(1)地盤の平均温度への影響の大きい地表面の熱収支を、降雨の影響を考慮して解析する方法について検討し、既に提案している熱水分同時移動方程式を適応して解析する方法を示すとともに、実際の地盤について、表面温度、水分ポテンシャルを測定して、その妥当性の検討と降雨の影響の正確な予測法、表面条件の影響について検討した。同時に表面近傍の急激な含水率変化や液化フロント算定のための数値計算法の検討を行った。この場合水分伝導率がきわめて大きく変動するため、差分化による数値計算では、大きな誤差を生じる危険があることを確かめた。
(2)降雨、常水面位置を考慮した地下構造物(典型的なタイプ)と周辺地盤の熱水分場の2次元非定常解析を行い、地盤内の水分分布とその負荷への影響を熱水分同時移動方程式により検討した。まず、完全空調(年間室温指定)の場合の熱負荷の算定を行い、換気量と年間熱負荷の関係を明らかにした。さらに壁体構造と水分負荷の関係について検討を行い、壁体の水分設計を行うための基礎資料を得た。また、不完全空調や自然状態における室内温湿度性状の数値計算を行い、地盤建築壁体系の影響を検討した。
(3)地下構造物における火災時の煙流動に関する基礎的な知見を得るために、地下構造物のネットワークモデルによる煙の挙動解析を行い、従来の二層ゾーンモデルの限界を明確にした。
(4)二層ゾーンモデルの適用限界を越えた部分に対して、新しい二層流モデルによる煙先端部の伝播性状の解析法を開発し、模型実験及び実大実験によりその妥当性を検証した。

研究成果

• [文献書誌] H.Nagai,M.Matsumoto,S.Takada: "A Study on Earth Ground Heat Strage Numerical Analyses of Ground Water Flow" Pan Pacific Symposium on Building and Urban Environmental Conditioning in Asia. (1995)
• [文献書誌] D.Ogura,M.Matsumoto: "An Analysis of Heat and Moisture Behavior of an Underground Space and Its Surrounding Ground" Pan Pacific Symposium on Building and Urban Environmental Conditioning in Asia. (1995)
• [文献書誌] M.Matsumoto,S.Ma: "A Numerical Analysis for the Freezing-Melting Process of Soils" Pan Pacific Symposium on Building and Urban Environmental Conditioning in Asia. (1995)
• [文献書誌] A.Iwamae,M.Matsumoto: "A Study on the Thermal Behavior in the Snowpack and the Underground in Japan" Pan Pacific Symposium on Building and Urban Environmental Conditioning in Asia. (1995)
• [文献書誌] 松下敬幸,若松高志: "水平廊下における煙先端部の移動の定式化と実験煙先端部の水平移動性状に関する研究その1" 日本建築学会構造系論文集. No.468. 193-198 (1995)
• [文献書誌] B.Wang,T.Matsushita,M.Matsumoto: "Experiments and Analysis of AirFlow and Pressure Distribution in a Pressurized Stairway" ASIAFLAM'95. (1995)