日本のエネルギー供給の歴史の中で、省エネルギーについては進んだものの、化石燃料に代わるエネルギーの開発と普及は大きな効果を上げていない。しかし、私たちの周囲に存在する低品質の利用可能なエネルギーの活用技術が実現に向けて大きく展開されつつある。ところが、このようなエネルギー源の活用には制約条件が多く、地域によっては賦存量が大きく異なるため、地域特性の考慮が特に重要となっている。本研究では、地域冷暖房の導入促進を図るため、全国の気候風土の違いによるエネルギー需要の特性を把握し、気候風土に適した自然エネルギー、コージェネレーションの活用方法を探ることを目的とする。 まず、北海道圏、関東圏、西日本圏の地域冷暖房施設について調査を行い、地区特性を把握した。これによると、北海道圏の温熱消費密度が高く、冷熱消費密度は西日本圏が最も高かった。また、集合住宅と業務施設の構成比変化による熱電比の変化の算出によると、東京都の場合が最も建物用途構成の変化に影響されやすく、構成比間の熱電比の差が大きいことが分かった。 次に新エネルギー供給システムとして、太陽エネルギー活用システム、河川エネルギー活用システム、コージェネレーションシステムを想定し、札幌市、東京都、福岡市それぞれにおける導入効果を検討した。その結果、とくに太陽の日照時間、河川の水温とも有利な条件下にある福岡市が、自然エネルギーの導入には優れていることが明らかになった。しかし、その他の地区でも大きな効果を上げており、全国で自然エネルギー活用型の地域冷暖房が検討されていくことは非常に有効であると思われる。
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