(1)配管方式蓄熱槽の混合特性を決定する無次元数の抽出 (1)配管方式蓄熱槽の水温混合特性を基本的に決定する無次元数は従来の代表長さを配管径d_OとするAr_<in>に対し、槽水平スケールをLとして、Ar_<in>・(L/d_O)^2で表わされる。これをAr^*と称する。 (2)蓄熱槽の水温混合の静的特性を決定する完全混合域スケールと乱流拡散係数は何れも、Ar^*数により決定される事が数値シミュレーションから確認できる。 (2)槽内の温度成層の安定性に関する波動論理的解明 (1)蓄熱槽の温度成層の安定性を決定するのは、水槽表面定在波と温度成層した内部水の浮力振動の相互干渉特性である。これらの振動数が一致すれば、共振現象により完全混合域は急速に拡大する。 (2)表面定在波はその振幅が大きくなると非線形性を持つ。本研究ではAr^*数が40以下で、表面波の非線形性は顕著となり、通常の共振以外に分調波成分との共振現象も考慮しなければならず、広い範囲で、こような不安定現象を生じる事を明らかにした。 (2)現在蓄熱槽に使用されている2つの基本的配管形式の特性に関する考察 (1)水平吐出方式は高いAr^*数では温度成層性が優れている。又、高Ar^*数領域で、表面波動が線形性を維持し易い。以上の事から、高Ar^*数領域の温度成層型蓄熱槽に最適である。 (2)上向き吐出方式は高いAr^*数では浮力の影響により温度成層性は損なわれるが、低いAr^*数でも短波長の表面波動による乱流エネルギーの消散作用により、特に小配管径の場合、温度成層が維持される。
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