研究概要 |
1992年の都市計画法改正により,自治体は(1)用途地域・地区の見直し,(2)都市計画マスタープランの策定,を行うこととなった。また都市計画マスタープランの策定は,(3)整開保の方針のあり方にも問題を投ずる事となった。研究は東京都区部を対象にこの3点に関して行われた。 (1)中高層階住居専用地区適用候補地区の洗いだし。地域地区の見直しの中で中高層住居専用地区の指定を重要なものと捉え,山手線内部に下町を加えた地区を対象に(1:2,500の20枚分,7,500ha),同一用途・容積地区の1,240ゾーンを設定し,平成3年の東京土地利用データを使用して,専用住宅地として保護すべきゾーン,住居条件の希薄なゾーン,住居ゾーン,混在ゾーン,に分け考察することから,同地区の適用候補地を洗いだした。 結果は都の見直し案よりかなり大規模なものが候補地区となり,同地区の適用が単に物的指標だけでは論じられないという側面を拡大視した。 (2)区部「都市計画マスタープラン」の立案の経緯と現状,今後の展望。区部のおおくが,都市整備方針等や地区別整備計画等で呼ばれる「マスタープラン的なもの」をすでに蓄積していた。先進区のこのような蓄積のプロセスや効用を展望することから,今後策定される都市計画マスタープランのあるべき形を考えた。 (3)整備・開発又は保全の構想付図のあり方。区域区分の説明書として発足した同方針は,徐徐にマスタープランとしての正確を背負うものとされてきたが,実際にはその機能を充分に発揮していない。特に東京都市計画区域は広帯都市区域とも理解すべきもので,各区の都市計画マスタープランが出揃った時には,どの様な形態のものであるべきかは重要な課題である。このような視点から現行構想付図や部門別マスタープランを検討し,今後の付図は,区部の構造の現況と将来を明らかにしたものであるべきことを論じた。
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