研究概要 |
1992年の都市計画法の改正により、(1)用途地域の8種から12種への細分化、(2)中高層階住居専用地区等の創設、(3)都市計画マスタープランの自治体への義務づけが行われた。これにより自治体は、都市計画マスタープランの立案と合わせて、用途地域・地区を見直すことになった。本研究は、この作業を行うに際して住宅・住環境を重視した将来市街地像を具体的にイメージすべきことを狙いとして、東京都区部(特に都心部)を対象に、次の3点に関して行った。 1)1919年の都市計画法や市街地建築物法以来、市街地像がどのように扱われてきたのかをリビユ-した。(II章) 2)23区内の住宅を主とする地域を、個別更新による高密度化の視点から8分類し、都の住宅マスタープランを参考にしつつ、15地区を抽出した。さらにこれらの地区に関して、'81・'86・'91の3時点間の土地・建物利用変化を考察することから、建築法制のもつ問題点を考察した。(III章) 3)地域・地区の見直しの中で、重要視すべきと考えられる中高層階住居専用地区適用候補地区を洗い出した。対象は、山の手線内部に下町を加えた地区(1/2,500の国土基本図20枚分、7,500ha)で、'95年の東京土地利用データを用いて同一用途・容積地区の1,240ゾーンを設定して行った。(IV章) 結果から、「町並みを創る」という点からみると現行法制には改良すべきところの多いこと、中高層階住居専用地区候補地区は、都の見直し案よりも相当大きく、同地区の適用が単に物的指標だけからは論ぜられず、地権者の積極的参加(まちづくりへの合意)が必須であるという側面を拡大して見せた。(V章)
|