研究概要 |
初年度は車椅子1台を備品として購入し,研究室備品の車椅子1台とともに,車椅子2台分の待機スペースの検討を行う予定であったが,避難に対する身障者の方々の意識調査を行う機械を得たため予定を急遽変更し,車椅子の購入費をアンケート調査費に回した。以下に今年度の結果をまとめる。 1.病院,老人ホーム,養護学校,身障者用施設などの,主として避難行動能力が小さい人が利用する施設における建築上の避難安全対策の実例を収集・分析し,手法を類型化した。 2.米国障害者法(ADA法)に規定された身障者の避難安全対策を検討し,日本の「福祉のまちづくり条例」の内容との比較検討を行った。 3.不特定多数の利用者が見込まれる大規模建築における身障者の避難対策を防災計画書をもとに分析した。その結果,多くの施設でエレベータ-を使わないと避難できず,問題があることが明らかになった。 4.自力歩行が不可能または困難な身障者の方々の協力を得て,建物からの避難に対する意識をたずねるアンケート調査を実施した。その結果,これらの人々が日常利用している施設に対する避難上の不安,避難行動能力,火災時の対応,火災時に有効と思われる避難施設などの貴重なデータを得た。 なお,このアンケートは主として阪神間に在住している方々に回答していただいたが,その直後に阪神大震災が発生し,安否が気遣われる。震災による被災状況やボランティアの救援活動,避難生活などを可能な限り追跡していく予定である。
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