研究概要 |
1.阪神間に存在する下肢障害者団体の協力を得て,建物からの避難に対する意識についてアンケート調査を実施した。その結果,これらの人々が日常利用している施設に対する避難上の不安,避難行動能力,火災時の対応,火災時に有効と思われる避難施設などを明らかにした。 2.アンケート調査終了直後に阪神・淡路大震災が起こったが,アンケート対象者の大半が被災地に住んでいたので,地震後の火災時の避難に対する意識の変化を調べることを主目的に,再度同じ人を対象にアンケートを行った。結果を以下に要約する。 (1)地震直後の行動は,日常の移動能力や体験震度が関係する。 (2)火災時の避難に不安を感じない階の回答比率は地下1階,地上2,3階を中心に低下し,地下2階,地上4階になると全員が火災時の避難が不安と回答するなど,地震の影響が明確に見られる。 3.不特定多数の利用者が見込まれる大規模建築における身障者の避難対策を防災計画書をもとに分析し,その問題点を指摘した。 4.病院,老人ホーム,養護学校などにおける建築上の避難安全対策の実例の収集・分析を行った。 5.身障者と健常者を区別しない避難・安全計画手法のうちデザイン的にすぐれた事例を収集・分析し,避難・安全計画におけるノーマライゼーションの可能性と将来像を検討した。
|