本年度に行った研究は、次の通りである。 1)磁気ブラッグ散乱測定装置のセットアップ ・計数システム 本研究では10^<-4>のオーダーの散乱強度の差を精密に測定する必要があるので、10^8以上のカウントを蓄積する必要があり、計数システムは実験の成否を握る鍵となる。当初、高計数率X線検出器としてCdTe5素子を直線的に5素子配置したものを採用することを考えていたが、この素子は雑音特性に不安が残ることが判明したので、アバランシェ・ダイオード検出器に切り替えた。これと自作品を改良した計数装置を組み合わせた計数システムを構成して、管球タイプのX線源を用いたテストを行ったところ、ほぼ満足すべき性能が得られた。 ・移相子型円偏光X線発生器 東大工学部の石川によって開発された移相子型円偏光X線発生器を精密X線回折測定装置(既存)に組み込み、測定に用いるX線エネルギー(15〜20keV)でうまく機能するかのダミ-テストを行った。放射光を用いた本格的チェックを行う予定であったが、マシンタイムが得られなかったために行えなかった。 2)試料単結晶の作製 NdCo_5に加えてDyCo_5の単結晶作成に成功した。 3)X線磁気吸収、磁気EXAFSの測定 この二つの測定を純鉄試料について行い、そのデータ解析を進めている。
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