研究概要 |
実用的なX線反射率測定装置を製作し、種々の磁性多層膜から鏡面および非鏡面反射データを収集し、積層構造、表面・界面構造を決定した。反射率測定装置は回転陽極型X線発生装置、2軸ゴニオメータ、チャンネル・カット結晶を用いている。チャンネル・カット結晶はSi非対称111反射を用い、ふつうのものより約3倍広い角度幅でCuKα線を取込んで試料に供給する。アナライザーには、要求する分解能に応じてスリットとチャンネル・カット結晶を交換使用できる。シンチレーション検出器で測定されたX線計数率をソフト的に補正し、直線領域を500,000cpsまで伸ばしている。装置は日立UNIXワークステーションで制御され、θ、2θ、θ-2θなどの走査により2次元逆空間を種々の方向に切る一連の測定がスケジュール・プログラムにより連続して自動的に行える。本装置により鏡面フレネル反射プロフィルは数時間で測定できる。このデータを最小二乗フィットして多層膜の個々の相の厚さ、界面ラフネスを決定するプログラムを作成すると共に、歪み波ボルン近似を用いて非鏡面散漫散乱データを解析し、界面ラフネスの面内および界面間の相関距離、フラクタル次元を求めるソフトウエアを開発した。
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