研究概要 |
厚さ数ミクロンの2種類の金属箔、あるいは金属箔に他の金属をメッキした箔を積層させ、拡散接合と繰り返し圧延を用いてナノ・メゾ構造の超積層材料を作成した。本年度はAl/Ti積層材料を作製し、その熱処理による化合物の形成過程と力学的性質について検討した。また、昨年度に続いてCu/Ni、Ag/Ni、Cu/Co積層材料について力学的性質と積層構造の関係について検討した。その結果は次の通りである。 1.Al/Ti超積層材料 層間隔600nmのAl/Ti積層材料を作製し、アニーリングすることによりAlとTiの金属間化合物を生成させ、Al/Al_3Ti/TiおよびAl/Al_3Ti/Al_2Ti/Ti積層材料を作製することに成功した。これらの積層材料の積層構造をSEM、X線回折によって調べた結果、金属間化合物層は純金属層に挾まれ、各層を構成する結晶は配向性を持を持っていることが分かった。また、結晶の配向性は各金属箔の圧延集合組織に依存するので、集合組織を制御することによって配向性を制御することが可能である。この材料の力学的性質は高強度であるが、延性に欠ける。今後の改良により十分な延性が得られば、耐熱性の軽量高強度材として有望である。 2.Cu/Ni,Ag/Ni,Cu/Co超積層材料 昨年度に引き続きCu/Ni,Ag/Ni,Cu/Co超積層材料について最小層間隔として2nmの層間隔を持つ超積層材料を作製し、その力学的性質を調べるとともに、理論強度との比較検討を行った。その結果、積層間隔の減少に伴う強度増加を説明するために、オロ-ワン型の強度モデルが適当であると考えた。
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