研究課題/領域番号 |
06452333
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鈴村 暁男 東京工業大学, 工学部, 教授 (80114875)
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研究分担者 |
高橋 邦夫 東京工業大学, 工学部, 助手 (70226827)
恩澤 忠男 東京工業大学, 工学部, 教授 (10016438)
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キーワード | 超伝導 / セラミックス / 拡散接合 / インサート材 / 臨界温度(T_C) / 臨界電流密度(J_C) / X線回析 / 示差熱分析 |
研究概要 |
酸化物系超伝導材料のうち、臨界温度T_Cが90K級のYBa_2Cu_3O_<7-X>系超伝導材料は、最も一般的であり実用化が期待されている。実用化に際しては、材料の成形加工及び接合技術が不可欠であるが、接合技術についてはこれまでほとんど報告されていない。 本研究では、まず酸化銀を添加してセラミック高温超伝導体を作製し、超伝導体の焼結性及び超伝導特性への影響を調べるため焼結体の臨界温度T_C・臨界電流密度J_Cの測定、及び密度変化・組織観察及びX線回析試験等を行った。また、超伝導体同士を直接またはインサート材を用いて接合し、せん断強度試験により接合性に及ぼす酸化銀の影響について検討した。さらに、示差熱分析により酸化銀の酸素解離現象を把握し、添加剤の挙動が超伝導特性に及ぼす効果について検討した。 以下に、本研究によって得られた主な結果をまとめて記す。 1.YBCO系超伝導体にAg_2Oを添加することによって超伝導体の密度が増加し強度も向上した。また、臨界温度T_Cも改善される傾向にあり、臨界電流密度J_Cも向上した。さらに接合部のせん断強度も向上した。 2.臨界電流密度J_Cは添加剤の増加と共に増加するのに対し、臨界温度T_Cはある量以上の添加に対しほとんど変化が見られなかった。 3.超伝導体に酸化銀を添加しても、X線回析結果には明らかな変化は見られなかった。 4.SEM観察及びEDS分析結果によると、添加した酸化銀は焼結途上で酸素を解離し、銀単体粒子の形で粒界に分布していた。 5.以上より、酸化銀添加剤は、超伝導体の結晶構造には大きな影響を与えないが、焼結体を緻密にし焼結体自体の強度および接合強度を向上させると共に、臨界電流密度J_Cも向上させる効果があるといえる。
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