本研究は従来全く実現されていないような、極めて高純度な素材の新しい精製法の確立を目指し、新奇な原理に基づいたレーザー精製法を開発しようとするものである。 その実現のために、本年度はレーザー光源部とレーザー精製部との試作を行った。レーザー光源部は極めて狭いスペクトル幅を有し、かつ時間的に安定な半導体レーザーシステムである。波長は850nmおよび780nmであり、まず温度と電流の安定化を行った。その結果20MHz程度のスペクトル幅にレーザー周波数幅を安定化することができた。また、その安定性はほぼ1MHz以下である。本研究ではさらに、外部鏡による光フィードバック法を用いることにより、スペクトル幅をさらに1/(10)以下にすることを目指している。現在は試作を終え、スペクトル幅の確認を行うところである。同時に精密なスペクトル掃引も可能となり、約500MHzの幅での掃引を確認した。 次に、レーザー精製の場となる超高真空装置の試作について述べる。テンナイン程度に達するような極めて高純度な素材を精製するためには、他からの不純物の混入は絶対に避けなければならない。そのため、10^<-10>Torr以下の真空度を達成するために、ターボ分子ポンプやイオンポンプなどからなる真空排気装置をもちいて、超高真空チャンバーを試作した。また、レーザー光を導入するための複数の覗き窓も設けてある。排気試験の結果10^<-11>Torr以下の真空度が実現できた。
|