研究課題/領域番号 |
06452339
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐野 信雄 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50010749)
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研究分担者 |
鈴木 吉哉 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (00092247)
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キーワード | オキシサルファイド / 硫化マンガン / 酸化マンガン / オキサイドメタラジ- / 脱酸生成物 / 状態図 / 相平衡 |
研究概要 |
平成6年度に鋼中のオキシサルファイドの主成分となるMnO-SiO_2-TiO_x-MnS系介在物の相平衡データ明らかにし、平成7年度はその介在物組織制御を行うために必要な溶鋼とMnO-TiO_x(-Fe_tO)系介在物間の脱酸平衡を測定した。 従来の酸化物等の坩堝を用いた実験では坩堝材の混入がさけられないため、介在物組成を自由に制御することができない。そこで、本研究ではコールドクル-シブルを用いた浮揚溶解法を採用し、坩堝と非接触で溶鉄と溶融酸化物を1600°Cで溶融平衡させた。温度の制御は、溶解試料の上部から二色光温度計で計測し、手動で高周波出力を制御することにより±10°Cの範囲で行った。まず、脱酸元素としてマンガンのみを添加し、既に報告のあるMnO-FeO系で実験を行い比較した結果、酸素濃度とマンガン濃度の関係が非常によく一致し、本実験方法の妥当性が確認され、平衡が10分以内で到達することが判明した。 続いて、マンガンおよびチタンを添加して脱酸平衡を測定した結果、溶鉄中チタン、マンガン濃度と酸素濃度の会計が明らかになった。溶鉄中のチタン濃度の増加に伴い、酸素濃度は大幅に減少しチタンの非常に強い脱酸効果が明らかになった。さらに、同じチタン濃度でもマンガン濃度の上昇に伴い、酸素濃度の減少が見られることからチタンとマンガンの複合脱酸効果が確認された。また、1600°Cにおける溶鉄とMnO-Fe_tO-TiO_x系介在物との組成関係を得、TiO_xが約80mass%以下の組成のフラックスは液相として存在することがわかった。以上の実験結果から、同温度で脱酸生成物をオキサイドメタラジ-に有効な高TiO_x濃度の組成に制御するためには、溶鋼中マンガン濃度を約0.5mass%とすることが望ましく、その時の酸素濃度は0.01mass%であることが判明した。
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