研究概要 |
平成6年度は,主として超希薄燃焼限界と燃焼管内の温度分布について測定し,大型化のためのスケールファクタについて検討した。その結果径を2倍にすると,安定燃焼風量は2倍になるが,最低安定燃焼限界濃度はわずかに低下するのみであることがわかり,従来実験に使用していた直径100mm,200mmの燃焼管に加えてより実用規模に近い直径300mmの燃焼管を試作した。 また,温度分布測定の結果,燃焼火炎の形状は,上方に開いたラッパ型であり,上端は燃焼管壁についているが,下端は燃焼管中心部で開いたままになっていることがわかった。火炎面においてはその法線方向の燃料流入速度戸燃焼速度の速度成分が等しくなっているが,火炎下端では温度が低いので燃焼速度も低く,このため直径方向の速度成分が小さい燃焼管の中心部に火炎が形成されるのに対し,火炎上端部では約1100℃と温度が高いので速度成分が大の管壁付近に形成されるためである。さらに,燃焼管底部の中心付近にも燃焼排ガスの環流によるとみられる比較的温度の高い部分が存在することも明らかになった。この燃焼管内の流れの形成は,希薄燃焼における安定な燃焼帯の形成に大きく寄与していると考えられ,予混合気の吹き込み口数,断面積などに強く影響されることがわかった。これらのことから,本希薄燃焼器における燃焼機構は,熱循環のみを考慮した熱収支モデルでは十分に表現できないことを検証した。
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