研究代表者の所属する実験場は、臨海施設であり、海水を容易に実験水路に取り込むことができる。ここでは2種類の実験水路を用いている。1つは、塩水楔を発生させるものであり、下流側に塩水層を発生させて、上流側から淡水を流下させ、水路内で弱混合現象を発生させて、解析を試みるものである。今一つは、完全な2層流を発生させるものである。水路下流から上流へ向かって海水が遡上し、上流から下流へ上層部を淡水が流下する水路である。これらの水路は、上下流からの流入水量が制御できるようになっており、その流量比で、種々の密度流現象が観測できるように工夫している。このような密度流を発生させて、ビデオテープに記録し、パソコンを用いて、画像解析を行えるように、実験装置を工夫した。現在、その精度を高めるために、超音波流量計、パソコンによる計測システムなどを駆使して、画像計測の手順を完成させるべく、試行を繰り返している段階である。 数値実験では、簡単な流体力学のモデルを考えてその検証を進めた。密度差によって発生する振動モデルに関しては、かなりよい成果を得て、ハワイでの国際会議で発表している。この手法をさらに拡張して、2次元の密度流や、3次元の流れにも応用するべく研究を進めている。また、ビデオ画像によって得られた水路内の流れのパターンと、数値シミュレーションによる結果を比較できるように、パソコンに取り込む手法を検討している。 オランダ・デルフト工科大学を訪問する機会があり、そこで開発された格子生成法による数値シミュレーションプログラムを見学することができた。スプライン関数で格子を形成する手法が使われていた。衛星画像等から得られる流れのパターンなどとのリンクすることも、視野に促えられており、環境計測への発展を指向していた。筆者等の研究も方向を考える上で、非常に参考となった。
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