研究概要 |
2年継続の本研究において,初年度として測定装置の改良を行った。具体的には,医学関係で使用されている筋電位装置では,50Hzを電気回路で除去し,カセットレコーダにデータを保存している。本研究では,電気回路による50Hzの除去をしないで,パソコンにデータを保存し,データの解析を直接できるように測定系の改良を行った。筋電位測定では,電極の導線がアンテナとなって電波を拾う。室内に金属板で囲った4m^2のシールドルームを作り,実験装置と被験者とを入れて,筋電位装置のすべてのAC入力線をシールドタイプのに交換することにより信号のs/nが大幅に向上した。データの保存には,筋電位の周波数特性から,12ビット,8チャンネル,64kワード/チャンネル,32ページのウェーヴフォームメモリーを企画して特注した。これにより,被験者1人につき32サンプルまでは充分な速さで筋電位のメモリーが可能となった。 咀嚼圧と筋電位の同時測定から,歯でかむ動作が終了した後にも,食品のテクスチャに依存した不規則な周期の筋電位が得られた。咀嚼筋筋電位は,被験者による差はあるが,煎餅,大根のようにヤング率の大きい食品の筋電位は高く,チーズ,ホットケーキのような柔らかい食品は,低かった。また食品を破断する1〜4噛みまでと,リズミカルに細かく砕かれる範囲とでは,筋電位の波形には相違が存在した。このため当初に計画した食べ始めから飲み込みまでの筋電位の積分の平均をとることは,食品テクスチャの相違を平均化する可能性がある。食品テクスチャと関連の深い咀嚼筋筋電位パラメターを探っている。
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