歴史的大地震を引き起した内陸の大規模活断層とその地殻運動の研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06452381
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 岡田 篤正 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90086174)
• 研究分担者: 竹村 恵二 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00201608)
• キーワード: 活断層 / 断層変位地形 / 地殻運動 / 兵庫県南部地震 / 六甲〜淡路島活断層系 / 野島断層 / トレンチ発掘調査 / 断層運動

研究概要

中部日本から近畿地方にかけては、歴史時代に大地震を引き起こした大規模な内陸の活断層がいくつかみられる。これら活断層に沿っては、明瞭な断層変位地形が連なるだけでなく、隆起・沈降・傾動、褶曲などの地殻運動も随伴される。沈降部は湖や海底となり、これら堆積物には断層運動や変形が時間目盛りを入れて記録されている。これら試料の分析を通して、地殻変動を総合的に取り扱い、大地震の発生間隔やそれに伴われた地殻運動を解明する必要がある。
こうした研究には、九州から近畿地域の中央構造線、琵琶湖域の活断層が適切である。1596年慶長地震(M≒7.0)では、別府湾の瓜生島が沈没したとの記録があり、この海底活断層による動きの可能性が高い。そこで、湾内のピストンコア試料を用いて火山灰分析を行い、地層の年代を決定し、音波探査による断層活動の年代の位置付けや連続性を確かめた。琵琶湖西岸断層系は1662年寛文地震(M≒7.5)を引き起こしたが、この断層東側にあたる琵琶湖湖底や、西側の堆積物を分析し、火山灰層の検出・同定を行い、層序を確立してきた。これによって、この断層系の第四紀後期の累積性や変位速度を解明した。また、1995年兵庫県南部地震を引き起こした六甲〜淡路島活断層系をとくに詳しく調査してきた。とりわけ、野島断層では、トレンチ発掘調査に参加すると共にその周辺域を詳しく調べた。さらに、六甲〜淡路島活断層系沿いでは、深層(兵庫県:50m、100m、500m;大学:500m、800m、1800m)ボーリングが実施され、これらのコアを観察・記載・分析して、火山灰目盛りを入れた地質柱状図をまとめ、第四紀における地殻運動の全体像を究明している。これらの成果をもとに、地形・地質資料と照らし合わせて、この断層系の3次元地下構造・活動間隔・1回の変位量などとの検討を行った。また、この断層の横ずれ断層運動の活動開始期・発達史・地形形成過程を詳しく解明した。

研究成果

• [文献書誌] 岡田篤正: "六甲-淡路島活断層系と中央構造線活断層系" 月刊地球. 号外13. 1-8 (1995)
• [文献書誌] Kyung. J. B. and Okada, A.: "Liquefaction phenomena due to the occurrence of great earthquakes: some cases in central Japan and Korea." Jour. Geol. Soc. Korea. 31. 237-250 (1995)
• [文献書誌] Tsutsumi. H. and Okada. A.: "Segmentation Holocene surface faulting on the Median Tectonic Line, southwest Japan" Jour. Gcophysical Researth. 101(in press). (1995)
• [文献書誌] 藤田和夫・岡田篤正: "1995(平成7)年兵庫県南部地震の地震断層と六甲-淡路島活断層系" 断層研究資料センター. 1-138 (1995)
• [文献書誌] 戸田茂・川崎慎治・竹村恵二・岡田篤正: "反射法地震探査の断面に見られる有馬-高槻構造線に沿う地溝帯" 地震. 48. 511-520 (1996)
• [文献書誌] Takemura K.: "Holocene eruptive activity recorded as volcanic glass in the sediments of Beppu Bay, Central Kyushu, Japan" Mem. Fac. Kyoto Univ., Ser. Geol. & Mineral.LV11. 1-10 (1995)
• [文献書誌] 岡田篤正: "阪神・淡路大震災誌(“近畿の活断層と今回の地震"の項)" 朝日新聞社, 733 (1996)
• [文献書誌] 岡田篤正: "兵庫県南部地震と地形災害(兵庫県南部地震の地震断層と…)" 古今書院(印刷中), (1996)