数学教育における数学CAI利用の問題点を明確にするとともに、その解決への方向を研究検討してきた。新しい教育観の確立によってコンピュータをツールとして考えるとき、その持つべき特性はWYSIWYW、WYSIWYG、WYWIWYGの3つの側面で考えることができる。数学教育にヒンピュータをツールとして生かしていくことを考察するとき、対話型数学CAIシステムMACAI(Maχ)については次の3原則、対話性(Interaction)、学習者指向(Student-Oriented)、動的カリキュラム(Dynamic Curriculum)を掲げこれを実現するシステム作成を目指してきているが、これらは学術的にも新しい研究分野になると考える。 数学CAIの土台となるオーサリングシステム、ユーザシステム、CMIをはじめとする全体の構成、各部の構成の詳細な仕様、インターフェースモジュールの作成とディスプレイ等の表示形式、数式処理システムMATHEMATICAとのインターフェース、各種エディタとライブラリマネージャとの暫定的インターフェースを決定した。数学CAIシステム作成についてはGUIの優れているVisual BasicおよびVisual C^<++>を用いている。CMIによる操作データの分析には、学習の理解度や教材の構造分析などを教材全体と個人データとの間でどのように取り扱うべきであるかの評価方法を新しく確立してきている。特に、各学習者の為の動的カリキュラムの研究には新たな手法が必要であり、カリキュラムのコントロールにはハブ型を基本にした個人学習データによる教材学習のレベル分けの方法について研究、発表を行った。また、基礎的数学の内容と教育の方法については、全国の情報工学系短期大学へのアンケート調査によってその傾向を把握することができた。
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