研究課題/領域番号 |
06452388
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松岡 聡 東京工業大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教授 (20221583)
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研究分担者 |
高橋 伸 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (00272691)
米澤 明憲 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00133116)
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キーワード | 宣言的GUI / 例示プログラミング / 視覚化 / アルゴリズムアニメーション / 宣言的アニメーション / 制約解消系 / 局所伝搬法 / 制約階層 |
研究概要 |
本研究の目的は、三次元、アニメーション、マルチメディアなどを複合した先進的GUIのための高度な構築法の斬新的なソフトウェアパラダイムを確立することにある。特に、プログラミングの専門家ではないGUIのデザイナが、ソフトウェアシステムの高度な支援を通じてその構築を容易に行うことを可能にする枠組みと、ソフトウェア基盤技術を開発・評価することを研究対象とする。本年度の成果は以下の通りである: (1)ペンによる描画システムの新しいインターフェースとその構築法の確立:昨年度の研究で、我々は描画システムの視覚的パ-ジングの部分に関して、局所的な構造の相互のインタラクションと、そのパラメタの学習により認識を行う「Link Model」を提唱した。本年度は、さらに人間の一般的な計算機を用いた描画時の操作に関する認知的なモデルを提唱し、その有効性を検証する実験を行った。さらにその実験に基づき、描画時の認知的な負荷を本質的に減らす描画インタラクションを装備した描画システムPegasusを開発し、実験により従来の描画システムと比較すると描画タスクの時間が50%以上削減されることを確認した。システムは高速な制約解消系を用いることにより、ユーザの描画操作に対し複数の解釈可能な解を導出し、それをユーザが簡便でかつ自然な操作で選択することによって、描画動作を高速化するものである。 (2)3-Dアニメーションインターフェースにおける半影の利用によるインタラクション:昨年度の研究で、三次元のアニメーション表示をインターフェースとして用いるTRIP3Dシステムを構築し、その実応用として並列N体問題シミュレーションなどの3次元アルゴリズムアニメーションを構築した。本年度では、その際に、物体間の相互関係をユーザに対してより積極的にかつ自然に提示する手法として、Interactive Penumbraeと呼ばれる、一種の(現実にはない)半影を用いる手法を提案し、その高速な描画アルゴリズムを開発した。実験によると、他の影を用いた物体の位置関係提示法に比較して、精度・スピード共に良好な結果を示した。 (3)成約解消系における一般化局所伝播法(Generalized Local Propagation)の理論の確立と、それ基づく複数の制約システムを連立させる高速制約解消アルゴリズム・システムの開発:昨年度は、階層的制約解消系における動的な制約の連立が可能な一般化局所伝播法を提案したが、本年度ではその理論を体系的に確立した。まず、A.Borningらによる階層制約系の再定義をより精密におこなった。次に、解消系の局所的な単調性大局的準単調性などの重要な性質を調べ、局所伝播法で解の正当性に関する必要十分条件を得た。さらに、それに基づき、従来の様々な提案された階層制約における制約解消系のクラス分けをこの理論に基づき行った。さらに理論に基づき、新たな制約解消系の開発を行い、ユーザインターフェースシステムへの適合性を調べた。 これらの成果は、複数の国内外の会議で発表された。また、研究代表者の松岡は、複数のユーザインターフェースの国際学会のプログラム委員としても活動し、我が国のこの分野の発展に貢献した。
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