研究概要 |
本研究では、再利用可能な知識記述方法論の確立を最終的な目的として,その根幹となる知識のオントロジーに関する基盤的な研究を行っている。オントロジーは,「人工知能システムを構成する時に用いる基本概念(語彙)の体系」であると言うことができる。オントロジーを問題解決のコンテキストを規定するタスクオントロジーと問題解決が行われる対象とドメインを規定するドメインオントロジーの2種類に分けて考察した。本年度の研究において,タスクオントロジーとして以前から行ってきたスケジューリングのタスクオントロジーのOntolinguaによる記述をほぼ終了し,タスクオントロジーの一つの例を開発することができた。近日中にこの成果はWWWなどを通して公開予定である。スケジューリングタスクにおけるドメインオントロジーの設計も合わせて行なった。スケジューングに関わる2種類のオントロジー記述は全部で231概念(単語),Ontolinguaのコードにして約2660行となった。更に,診断タスクオントロジーの第一版を設計した。二つのオントロジーの詳細な比較検討は次年度の課題である。 ドメインオントロジーとしては、発電プラントの熱伝達系の定性モデルを対象にして,振る舞いと機能に関する基本的な考察を行ってオントロジーを設計し,昨年度の成果を元にしてFBRLと呼ばれる機能・振る舞い記述言語を開発した。更に,機能レベルのオントロジーを,部品の構造,振る舞い,そしてFunctional Toppingの3種類の情報を元に,階層的に組織化することによって,利用者に理解しやすい,適切な語彙を用いた機能レベルの説明文を生成することができることを確認した。
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