研究概要 |
本研究は,学習アルゴリズムと機械発見について,論理と方式から手間と効率化,作業環境に至るまでを体系的に追求し,科学発見の機械化のための基礎を確立することを目的として,本年度は以下の成果を得た. (1)機械発見の計算論理については,科学者による科学発見と計算機による機械発見の基本的な違いが,個々の仮説の論駁可能性と仮説空間自体の論駁可能性にあることを究明して,学習アルゴリズムに基づく機械発見の論理を展開して,事実からの機械発見の数学的理論を展開した.これは,機械発見に関する世界で最初の精緻な理論であり,既に,学習理論の内外の研究者に影響を及ぼし始めている. (2)機械発見のための知識表現体系については,EFSと呼ばれる形式的体系が有用であることを,これまでの研究で明らかにしていたが,これがさらに,通常の述語論理さえも,適当に型(タイプ)を導入することによって記述でき,様々な表現体系の基礎になることを明らかにした. (3)PAC学習による機械発見に関しては,仮説空間自体の論駁可能PAC学習可能性の理論を展開した.これは,(1)で展開した理論のPAC版であるが,機械発見のもう一つの基礎理論として期待されるものである, (4)大規模データベースからの機械発見については,帰納推論における多重汎化の概念を適用してアミノ酸配列からのモティーフ発見と並列機械発見システムを開発した.さらに,数値データからの機械発見の研究に着手し,その基礎となる重要な成果を得た.
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