研究概要 |
停電の都市生活への影響度の定量的評価に関する研究の初年度として,電力需要特性から都市部の地域特性の評価と分類を試みた.まず,過去の地震・台風などで発生した停電を事例として,主に新聞記事のパソコンネットワークによるデータベース検索によって,都市社会生活への影響の実態を,地域的要因・災害規模・時間的要因を考慮して詳細に調査した.次に,電力需要と地域特性のデータベースを構築すると共に,電力需要から見た都市部の地域特性評価を行った.ここで構築したデータベースとは,「電力需要データ」として,東京23区内の314の配電用変電所の位置,配電エリアのポリゴン座標,電力供給ネットワーク構成,4季節を代表する日の1時間毎の電力需要データを,「地域特性データ」として,東京23区の国税調査データ,事業所統計データなどを,それぞれ地理情報システム(GIS)解析用ソフトウェアーである米国ERS社のARC/INFO上にデータベース化したものである.この「電力需要データベース」と「地域特性データベース」を用いて,都市の電力需要特性と地域特性の関係を分析し,都市部の電力需要が,基本となる4パターン(住宅・オフィス・工場・店舗/飲食店)の重ね合わせで評価できることを示した.次に各配電エリアについて,重ね合わせの比率(寄与率)を算定し,その寄与率を用いて電力需要から地域特性を評価できることを解明した.更にこの寄与率を基に,停電の影響度の定量的評価法の基本的な考え方を示すと共に,簡単なシミュレーションを行って停電の都市生活への影響の定量的評価を試みた.具体的には,まず電力の消費内容を考えて,時間と季節で変化する影響度関数を提案し,東京23区の配電エリアにその関数を適用して,各エリアの影響度を試算した.また,その関数に災害の影響を考慮することによって,災害時などの非常時における停電の影響度変化を試算した.
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