研究概要 |
本研究は,これまで地震の前兆と考えられる自然電位の異常が観測されている北陸地方の観測点周辺でより精密な自然電位観測を行い,異常がノイズかシグナルかという議論に決着をつけることを第一の目的としている. 本年度は石川県小松観測網で従来から用いられてきた観測装置(12ビット分解能,6チャンネル,20秒おきサンプリング)から新しい観測装置(20ビット分機能,8チャンネル,10秒ないし1秒おきサンプリング)への更新を行った.また富山県上市・上滝地区でNTTの協力を得て新たな観測を開始した.さらに富山県大沢野でも新たな観測を開始した.これは東大地震研の施設共同利用を利用し測定装置を拝借している.福井県・温見断層での観測点で電極の配置を大幅に変更した.これは福井高等専門学校の地球 科学部の学生の全面的な協力を得て行われた. 観測データ量の増大に伴い,大容量ハードディスク装置を導入し,データ処理がよりスムーズに行えるようになった.さらに従来,パソコンベースでデータの収録を行っていたが,データ容量の増加にも対処するため,UNIXワークステーションを用い,全ての処理を一元化する試みを開始した. データ処理ソフトウエアについては記録に含まれる地磁気誘導成分の除去法をほぼ確立することができ,これにより異常判別能力の飛躍的向上がなされた。また地磁気3成分データを気象庁・柿岡地磁気観測所から配布してもらうシステムを構築した. なお計画調書に記載した石川県狼煙周辺での精密自然電位観測は次年度に持ち越された.
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