研究概要 |
今年度あらたに設置した観測点には新潟県文化財・市島邸の植物園内の観測点がある.ここは平成7年4月1日に発生した新潟県・笹神村周辺に被害を及ぼした地震(M6.0)で全壊した建物があり,まさに震央といってよい.観測は平成7年6月18日から開始され,現在も順調に地電流記録を行っている.人工ノイズとして羽越線の影響が大きいものの,規則的なノイズであり,十分解析可能なデータが取得されている. 平成8年2月7日に石川県加賀地方,福井県大野地方に小被害をもたらしたM5.0の地震の2日前,顕著な異常電位を小松長基線観測網の符津電極で観測した.この地震はこの地方では本研究が開始してからの最大の地震であり,それまでこのような異常電位は観測されたことがなかった.異常電位と地震との時間的な対応は極めて良く,我々が2月5日に観測した異常がこの地震の前兆であった可能性は極めて高いと考えている.現在データを過去に遡って解析を行っている. なお現在稼働中の観測点は以下のとおりである. NTTと共同で行っている長基線観測網・小松,珠洲,冨山の3地区 金沢大学,冨山大学独自の短基線観測網・新潟県・笹神村,長野県・王滝村 今年度の備品費で購入したハードディスクを活用することにより,一度に大量のデータの一括処理が可能となり,データ解析の効率が向上した.またモデムをより高速なものへと更新したため,データ転送のための通話時間の短縮(電話代の節約)が図られた.
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