| 研究概要 |
高い河岸の侵食過程に関する実態解明のため,バングラデシュ国の大河川の衛星写真解析を継続し,大規模な河岸侵食の生起地点について,地上の状況との対応関係を把握してその特徴を見出すよう努めたが,これまで以上の知見を得ることはできなかった。
河岸侵食に関する流れ解析については,既存の有限要素法による解析はバングラデシュ国上メグナ川や宇治川下流区間への適用性に限界のあることが判明したので,一般曲線座標による2次元解析を検討した。すなわち,まず,側岸固定条件に対して,一般曲線座標系による流れ解析及び河床変動解析を可変成分に着目した有限体積法に基づいてモデル化し,メグナ川の河岸侵食区間を対象に解析して良好な結果を得た。ついで,その解析モデルを河岸侵食性流路のような移動境界を持つ流れに拡張し,人為的に境界を移動させた条件について適用性を確認した。さらに,この拡張された解析モデルを直線,弯曲及び蛇行の側岸侵食性水路実験に適用して,実験水路における河岸侵食過程が,直線及び緩弯曲で場合には高い精度で,また,蛇行の場合にも相当の精度で表現できることを示した。
河岸安定については,河岸内の気流・水流間の境界移動を含んだ解析手段として,SOLA-VOF法の適用を検討したが十分な見通しは得られなかった。一方,モデルの構築と検証のための水位変動による気流・水流の応答過程に関する実験については,装置を製作し,砂を用いた実験を行って,空気は河岸側面よりも上面から出ていきやすいという結果を得た。また,近傍河床の洗掘・低下に伴う河岸斜面の安定については,河岸の全体形状を既存の式の拡張によって仮定し,現有の簡易Janbu法による解析プログラムを適用して考察を加え,河岸の比高が10mを越えると著しく不安定になることを示した。
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